医学教育訓練システムおよび外科手術支援システムの開発

名古屋工業大学 大学院工学研究科 藤本研究室
藤本英雄,陳 連怡,坂口正道,山川聡子


藤本研究室では,ロボット工学,メカトロニクス,バーチャルリアリティ,制御工学をはじめ,情報工学,ヒューマンインタフェース,人間工学,感性工学などの技術を応用して,医学教育訓練システムや外科手術支援システムの開発など,様々な医学工学研究プロジェクトを実施しています.また,地域医学部と連携して医学工学研究所を設立し,企業との連携も図りながら,医学工学研究プロジェクトによる外部資金獲得,新産業創出,世界拠点形成を目指しています.

技術シーズ :
遠隔操作,力触覚センシング・ディスプレイ,柔軟物変形シミュレーション,立体ディスプレイ

マイクロドームディスプレイ
 ドーム(半球)形の背面投影ディスプレイを開発.液晶シャッターメガネおよびヘッドトラッカーを併用して立体視を実現.バーチャルツールを用いることで,ドーム内の物体を直感的に操作することが可能.手術訓練システムや,手術支援システムで利用.

力触覚センシング・ディスプレイ
 人間の指をモデルとし,すべり感覚を検出可能なソフトフィンガ(力触覚センサ)を開発.ばね,シリコンゲル,シリコンゴムを組み合わせ,柔らかいセンサを実現.  また,超音波振動子を利用したすべり感覚ディスプレイや,柔軟物提示ディスプレイ,摩擦提示ディスプレイ等も開発している.
マスタ・スレーブ遠隔操作システム
 ソフトフィンガセンサを備えたロボットハンド,および超音波すべりディスプレイを備えたマスタロボットを用いて,すべり感覚を伝達可能なマスタ・スレーブシステムを開発し,外科手術への応用を検討している.
 また,ネットワーク遠隔操作システムや,携帯電話を用いた医療機器の遠隔監視システムなども開発している.
柔軟物変形力覚シミュレーション
 臓器や筋肉などの生体柔軟物の変形,切断,穿刺を実現するシミュレーション.操作が加わった際の変形および力覚を実時間で計算.
 対象物を微小要素に分割し,特性パラメータおよび境界条件を与え,有限要素モデルを利用.
バーチャル外科手術訓練システム
 マイクロドームディスプレイ,力覚提示デバイス(PHANToM),および有限要素モデルを用いた変形力覚シミュレーションを利用し,バーチャル外科手術訓練システムを構築.
 立体的に表示された柔軟対象物を,反力を感じならインタラクティブに操作することで,基礎的な手術手技の訓練や,医師が術前に行うイメージトレーニングなどを実現.
 バーチャル訓練システムを用いることで,様々な状況を繰り返し効果的に訓練可能.
歯科治療訓練シミュレータ
 歯を削る時のドリルの使い方を訓練するためのシミュレータを開発.歯を削る際に必要なフェザータッチと呼ばれる微妙な力感覚は反復練習が必要なため,力覚のフィードバックおよび可視化が可能なシミュレータ.
 さらに,患者の予期せぬ動きや,舌などを切開してしまった際の流血を反映させ,従来のマネキンよりも高い臨場感を実現している.
複合現実感外科手術支援システム
 マイクロドームディスプレイ,力覚提示マスタデバイス(PHANToM),およびスレーブロボットを用いた外科手術支援システムを開発.微細血管を拡大表示し,隠れた針先や縫合針円をCGで(複合現実感)表示することで縫合作業の支援を実現.
 また,ガイド力を提示した力覚を伴う縫合訓練の効果についても検討している.
遠隔スケーリング効果の検証
 マスタ・スレーブシステムを用いた微細手術のスケーリング効果の検証.スケールの異なるマスタ・スレーブシステムを用いて,微細作業を拡大して行う際の,操作効率・操作精度,作業効率・作業精度について実験的に検証している.
上記の他にも,医学工学,人間中心ロボティクス,技能伝承などに関する様々な研究を行っています.
藤本研究室,医学工学研究プロジェクト,医学工学研究所等の詳細につきましては下記までお問い合わせ下さい.

問い合わせ先:
名古屋工業大学大学院 おもひ領域 教授 藤本英雄
TEL: 052−735−5330 E-mail: fujimoto.hideo@nitech.ac.jp
URL: http://www.mech.nitech.ac.jp/~fujimoto/fujimoto_lab.html